
住まいの傷みや使いにくさが気になり始めても、リフォームは何から手をつければよいのか分かりにくいものです。金額が大きく、やり直しがきかない部分もあるため、進める順番を先に決めておくと迷いが減ります。この記事では、検討から契約までの流れを段階ごとに整理します。
最初にやるのは「要望を挙げること」ではない
住宅設備のカタログを見始めると、どうしても「せっかくだからここも」と要望が広がります。ところが要望が増えたあとで予算に合わせようとすると、何を削るかの判断が難しくなります。順番としては、目的をひとつに絞ってから、要望を並べるほうが決めやすくなります。
- 1困っていることを書き出す「寒い」「使いにくい」で止めず、いつ・どこで・どう困るかを具体的に書きます。原因の見当をつける材料になります。
- 2目的の種類を分ける傷んだ部分を直す(修繕)、使い勝手を良くする(改善)、見た目を整える(意匠)は、優先順位も費用の考え方も違います。
- 3住み続ける年数を考えるあと何年その家で暮らす想定かによって、どこまで手を入れるかの答えが変わります。
特に、雨漏りや水回りの不具合など放置すると被害が広がるものは、見た目の改善より先に手を入れる対象です。困りごとの書き出しは、この順位付けのために行います。
予算は「工事費」だけで考えない
見積もりに出てくる金額のほかにも、費用が発生する場面があります。総額の見通しを立てるときは、次のような項目もあわせて考えておくと、あとから慌てずに済みます。
- 工事中の仮住まいや、荷物を預ける費用(範囲が大きい場合)
- 既存の設備の撤去や処分にかかる費用
- 工事に伴って必要になる、周辺部分の補修
- 新しく買い替える家具・カーテン・照明など
- 登記や申請が必要な工事の場合、その手続きにかかる費用
また、予算の上限を決めるときは、余裕を持たせておくことをおすすめします。壁や床を開けてみて初めて分かる傷みがあり、工事の途中で追加が必要になることがあるためです。
業者を探すときに確認したいこと
工事の規模によって、必要な許可が変わる
建設業法では、規模の小さい工事について建設業の許可を必要としない扱いが定められています。建築一式工事以外の工事では、1件の請負代金が500万円未満(消費税を含む)のものが「軽微な建設工事」として許可不要とされています。つまり、許可を持っていない事業者が小規模な工事を請け負うこと自体は、法律上の問題ではありません。金額の大きい工事を依頼するときに、許可の有無を確認する材料として知っておくとよい知識です。
*出典:国土交通省「建設業の許可制度」(建設業法第3条/軽微な建設工事)
見積もりは、金額よりも中身を比べる
複数の会社から見積もりを取ったとき、総額だけを並べても比較になりません。同じ工事範囲で見積もられているかを先に確認します。「一式」とだけ書かれた項目が多い場合は、何が含まれ、何が含まれないのかを質問し、書面で残してもらいます。
比べるときの視点:工事の範囲/使う建材や設備の品番/数量と単価/工期/保証の内容と期間/追加費用が発生する条件。金額が安い理由が説明できるかどうかも、判断の材料になります。
工事後の保証と、記録の残し方
工事の内容によっては、施工後の不具合に備えた保険の仕組みがあります。事業者が加入している保証や保険の有無、対象になる範囲、期間を確認しておきます。あわせて、工事前と工事中の写真を残してもらえるかを尋ねておくと、あとから状況を確認したいときに役立ちます。
契約の前に気をつけたいこと
リフォームは、訪問による勧誘が発端になるトラブルの相談も寄せられている分野です。点検を申し出て不安をあおるような説明があった場合は、その場で契約せず、いったん時間を置いて別の事業者にも見てもらう姿勢が大切です。
訪問販売にあたる契約をした場合、法定書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフができます。自分から依頼して来てもらった場合など、適用の対象にならないこともあるため、契約の経緯を整理したうえで確認してください。
*出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」(訪問販売)
契約や工事の内容で困ったときは、消費者ホットライン「188(いやや)」のほか、住宅の相談を受け付ける公的な窓口も利用できます。
補助や税の制度は、着工前に調べる
省エネ性能の向上やバリアフリー化などを対象にした支援制度が設けられることがあります。こうした制度は、工事の前に申請が必要なものや、募集期間が限られているものが多いのが特徴です。年度によって内容が変わるため、検討の早い段階で、国や自治体の最新の案内を確認しておくと選択肢が広がります。
まとめ
- 困りごとを書き出し、修繕・改善・意匠に分けて優先順位をつける
- 予算は工事費以外の費用と、追加が出る可能性を見込んで立てる
- 見積もりは総額ではなく、工事範囲と内訳を同じ条件で比べる
- 保証の内容と、工事の記録の残し方を契約前に確認する
- 訪問での勧誘はその場で決めず、制度の利用は着工前に調べる
リフォームは、決める項目が多いほど疲れて判断が雑になりがちです。目的の順位を先に決めておくと、途中で迷ったときに立ち戻る基準ができます。